「あなたと相性いいと思って連絡しました」——相手を見ない営業が、なぜ響かないのか
この記事の結論
- いきなりの営業が嫌われるのは、売り込むからではなく「相手を見ていない」から
- 相手を見ずに「相性がいい」と言われても、人はピンとこない
- 一つの属性(業種・規模など)だけで「ぴったりです」と言うのは、MBTIだけで相性を語るのと同じ
- 響く営業とそうでない営業を分けるのは、売り込みの強さではなく、相手をどれだけ見ているか
- これは営業だけでなく、採用など「人に声をかける」場面すべてに通じる
いきなり届く営業が気持ち悪いのは、売り込まれるからではありません。相手をろくに見ないまま「あなたと相性がいい」「御社にぴったりです」と、こちらのことを知っているかのように言ってくるからです。初対面の人に「あなたのMBTI、私と相性いいのでお話しましょ」と言われても、ピンときません。相手はこちらのMBTIしか見ていなくて、こちらがどんな人間かは何も知らないからです。営業も同じです。響くかどうかを分けているのは、売り込みの強さではなく、どれだけ相手を見ているか、です。
気持ち悪さの正体は、売り込みそのものではありません。相手をろくに見ないまま、「あなたと相性がいい」「御社にぴったりです」と、まるでこちらを知っているかのように距離を詰めてくること。ここにあります。
一つ、たとえ話をさせてください。
一度も会ったことのない人から、急にこう言われたらどうでしょう。「あなたのMBTI、私と相性がいいと思ったのでお話ししましょう」。おそらく、ピンとこないはずです。むしろ、少し戸惑う。なぜなら、その人はこちらのMBTIという一つの情報しか見ていなくて、こちらが実際どんな人間なのかは、何も知らないからです。そもそも、あなた自身のMBTIは何なのか。MBTIだけで相性が決まるのか。そういう疑問が先に立ちます。
無差別に送られてくる営業は、これと同じ構造をしています。「IT企業だから」「従業員何名だから」「この業種だから」——たった一つか二つの属性を見て、「だから御社にぴったりです」と言ってくる。受け取る側からすれば、自分という会社の中身は何も見られていない。属性が合っているだけで「相性がいい」と言われても、響くわけがないのです。
つまり、営業が響くかどうかを分けているのは、売り込みの強さではありません。どれだけ相手を見ているか、です。
相手の会社が何をしていて、何を強みにし、いまどこに向かおうとしているのか。そこを見たうえで「だからこそ、あなたに連絡した」と言えるなら、同じ営業でも受け取られ方はまるで変わります。属性の一致ではなく、相手そのものを見た一通。それだけが、初対面の壁を越えます。
ここで難しいのは、相手を一社ずつ見るには、途方もない手間がかかることです。だから多くの営業が、属性で絞って一斉に送る、という方法に流れます。気持ちは分かります。一社ずつ調べて書いていたら、とても数がこなせない。ですが、その効率のために「相手を見る」を手放した瞬間、そのアプローチは「MBTIだけ見て連絡してくる人」になってしまうのです。
私たちがつくっているNudge HQは、この「一社ずつ相手を見る」という、いちばん手間のかかる部分を仕組みにするためのツールです。相手企業を調べ、その会社に宛てた文面を用意する。作業はAIが担い、送るかどうかの判断は人が持つ。属性で絞って一斉に送るのではなく、相手を見た一通を、現実的な手間で届ける。「あなたのことを見ています」と言える営業を、仕組みで支えたいと考えています。
なお、これは営業だけの話ではありません。採用で誰かに声をかけるときも、同じです。相手の何を見て「あなたに」と言っているのか。そこが伝わらないアプローチは、どんな場面でも、相手の心には届かないのだと思います。