2026年7月24日 営業効率化

「50%削減」より「対話3倍」|効率化で本当に決めるべき目標とは

「50%削減」より「対話3倍」|効率化で本当に決めるべき目標とは

この記事の結論

  • みずほ銀行が、法人営業担当者(RM)向けの統合AIアプリケーション「みずほRM Studio」を展開している
  • 2026年2月から約800名で開始し、最終的には全法人RM約3,500名への拡大が予定されている
  • 掲げられている目標は二つ。「事前準備時間の50%削減」と「お客さまとの対話機会3倍」
  • 重要なのは、削減率だけでなく、空けた時間の行き先が目標に含まれている点
  • 出口を決めない効率化は、空白が別の作業で埋まり、結果として何も変わらないことがある

目標が、二つ並んでいました

みずほ銀行が、法人営業を担うRM(リレーションシップマネージャー)向けに、統合AIアプリケーション「みずほRM Studio」を展開しています。AIがウェブ情報や社内情報を収集し、提案シナリオや資料のドラフトを自動生成する仕組みです。2026年2月から約800名への展開が始まり、最終的には全法人RM約3,500名への拡大が予定されています。 (出典:株式会社GenerativeX プレスリリース、みずほフィナンシャルグループ)

大規模な導入事例として興味深いのですが、私たちが目を留めたのは別の部分でした。

掲げられている目標が、二つ並んでいたことです。


面談前の情報収集・論点整理・提案骨子作成にかかる事前準備時間の50%削減。 そして、お客さまとの対話機会3倍。 (出典:株式会社GenerativeX プレスリリース、同社目標値)

前者だけなら、よくある効率化の目標です。ですが、そこに後者が並んでいる。空けた時間を何に使うのかまで、目標として設定されているわけです。

これは、当たり前のようでいて、あまり見かけません。


削減率だけを目標にすると、何が起きるのでしょうか

「資料作成の時間を半分にする」。この目標は、達成したかどうかを測れます。分かりやすく、決裁も通りやすい。

けれど、達成したあとに何が起きるか。ここが抜けたまま導入されることが、少なくありません。

空いた時間は、放っておくと自然には使われません。多くの場合、別の作業で埋まります。社内資料が増える。会議が増える。これまで手が回っていなかった別の事務が回ってくる。

結果として、作業時間は確かに半分になったのに、担当者が顧客と向き合う時間は増えていない。効率化は成功したのに、成果は変わらない。この状態は、実際によく起こります。

誰かがサボっているわけではありません。行き先の決まっていない時間は、いちばん近くにある作業に吸い込まれるというだけの話です。


「対話3倍」は、行き先の宣言です

その意味で、「対話機会3倍」という目標には、意味があります。

これは、空いた時間をどこへ流すかを、あらかじめ決めているということです。準備時間が減った分は、顧客との対話に充てる。他の作業には吸わせない。そう宣言している。

しかも、この目標は測れます。「もっとお客さまと向き合いましょう」という掛け声ではなく、3倍という数字になっている。数字になっているものは、追いかけられます。

削減率は入口の指標で、対話機会は出口の指標です。 この二つが揃って、はじめて効率化の意味が定まります。


若手が育つ、という別の行き先

もう一つ、興味深い点があります。

提案の「型」を組織全体で蓄積・共有することで、若手RMの早期育成や提案力の底上げにつながることが期待されている、とされています。経験の浅いRMでも、AIが提示する切り口をヒントに、顧客の課題に寄り添った提案ができるようになる、と。 (出典:株式会社GenerativeX プレスリリース、みずほフィナンシャルグループ)

これも、空けた時間の行き先の一つです。

AIが作業を引き受けることの効果は、時間の短縮だけではありません。ベテランの頭の中にあった提案の組み立て方が、形になって共有される。若手が、それを見ながら育つ。

「AIが人の仕事を減らす」ではなく、「AIが人の成長を助ける」。同じ導入でも、どこへ向けるかで意味が変わります。


規模が違っても、問いは同じです

ここまで大企業の事例を見てきましたが、この話は規模を選びません。

弊社は2名の会社です。3,500名の法人RMを抱える銀行とは、あらゆる条件が違います。それでも、向き合っている問いは同じでした。


作業を減らした先で、何をするのか。

弊社が提供している営業支援AIは、リストの作成、1社ごとの文面作成、送信後の記録といった作業を引き受けます。ここだけを見れば、単なる時間短縮のツールです。

けれど、私たちが本当に置きたいのは、その先です。空いた手と頭で、「誰に、何を、どう届けるか」を考えてもらうこと。 そして、送るかどうかの最終判断を、人が持ち続けること。

作業を引き受けるのは、その時間を作るためです。時間を作ること自体が目的ではありません。



導入前に、決めておきたいこと

AIの導入を検討するとき、「どれくらい時間が減るか」は必ず議論されます。当然のことです。

そこに、もう一つだけ問いを足せるといいと思っています。

その時間で、何をするのか。


答えは会社ごとに違うはずです。顧客との対話に充てる。提案の質を上げる。若手の育成に回す。あるいは、単純に働く時間そのものを短くする。どれも正しい答えです。

大事なのは、先に決めておくことです。決めていない時間は、必ず何かに埋まります。そして埋まったあとでは、何のために導入したのか分からなくなります。

みずほの事例で参考にしたいのは、AIの性能でも導入規模でもなく、目標の立て方でした。削減率の隣に、行き先を書いておく。それだけで、同じツールの意味が変わります。

よくある質問

みずほRM Studioとは、どのようなものですか?
みずほ銀行が法人営業を担うRM(リレーションシップマネージャー)向けに展開している統合AIアプリケーションです。AIがウェブ情報や社内情報を収集し、提案シナリオや資料のドラフトを自動生成します。提案資料の自動生成エンジンには株式会社GenerativeXの「パワポ部長」が採用されており、2026年2月から約800名への展開が始まり、最終的には全法人RM約3,500名への拡大が予定されています(出典:株式会社GenerativeX プレスリリース、みずほフィナンシャルグループ)。
なぜ「削減率」だけを目標にすると不十分なのですか?
削減率は測りやすく決裁も通りやすい指標ですが、空いた時間の使い道までは決めていないためです。行き先が決まっていない時間は、社内資料の作成や会議など、いちばん近くにある別の作業で埋まりがちです。その結果、作業時間は確かに減ったのに、顧客と向き合う時間は増えていない、という状態が起こり得ます。みずほが「準備時間50%削減」と並べて「対話機会3倍」を掲げているのは、空けた時間の行き先を先に決めている点で参考になります。
中小企業でも同じ考え方は使えますか?
使えます。むしろ人数が少ないほど、空いた時間の行き先は重要になります。導入前に「この作業が減ったら、その時間で何をするのか」を一つ決めておくだけで、導入後の評価軸が定まります。対話を増やす、提案の質を上げる、人材の育成に回す、労働時間そのものを短くする——どれも正しい答えです重要なのは中身よりも、先に決めておくことです。

営業の作業は、AIに任せられます。

リスト集め・メール作成・追客を自動化。最後の送信だけ、人が決める。

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