2026年10月8日 行動経済学

「営業支援AI」をやめて「営業するAI」に。展示会の声かけで分かった、一言目の設計

「営業支援AI」をやめて「営業するAI」に。展示会の声かけで分かった、一言目の設計

この記事の結論

  • 売り手の指標(アプローチ数など)を語る声かけは、通りすがりの人に届きにくい
  • 「支援」より「する」。何をするかが一言で分かる言葉が足を止める
  • 相手に「え、AIが?」と問いを残す一言目が反応を生む
  • チームで声かけの言葉と見込み度の基準をそろえると、展示会が次の営業に使える情報になる
  • 営業メールの件名と一文目も、相手の言葉で始めることが大切

同じ商品なのに、一日目と二日目で反応が変わった

弊社は2026年9月30日・10月1日に開催された「AI博覧会Fukuoka 2026」に、BtoB新規開拓支援AI「Nudge HQ」で出展しました。

正直に書くと、一日目は手応えのないまま終わりました。ブースの前を通る方に声をかけても、足を止めてもらえない。説明できても、どんな人にどこまで伝わったのかが、ふたりの中で整理できていない。そんな一日でした。


二日目、私たちはやり方を変えました。変えたのは、商品でもチラシでもありません。最初の一言と、ふたりの間で使う言葉の定義です。

一日目の声かけは「売り手の言葉」だった

一日目に使っていた声かけは、次のようなものでした。

  1. 「営業のアタック数が増えます」
  2. 「アプローチ数を増やせます」
  3. 「営業支援AIです」

どれも、間違ったことは言っていません。ただ、振り返ると、どれも売り手側の言葉でした。

「アタック数」「アプローチ数」は、営業の現場で成果を測るときに使う指標です。通りすがりの方にとっては、それが自分のどんな悩みを解決するのか、一瞬ではつながりません。「営業支援AI」も同じです。「支援」という言葉は範囲が広く、何を手伝ってくれるのかが見えにくい。結果として、聞き流されてしまっていたのだと思います。


「営業するAIです」に変えたら、足が止まった


二日目、声かけを「営業するAIです」に変えました。

すると、チラシを受け取ってくださる方が目に見えて増えました。一度通り過ぎた方が戻ってきて話を聞いてくださったこともありました。「え、営業するの?」と、思わず足を止めてくださった方もいました。

違いは「支援」と「する」の一語です。私たちが感じたのは、何をするのかが一言で伝わり、しかも相手の頭の中に問いを生む言葉が強いということでした。「営業支援AI」は名詞の説明として完結してしまい、聞き手が考える余地がありません。「営業するAI」は、AIが何をするのかがはっきりしているうえに、「AIが営業するの?」という小さな驚きを残します。その引っかかりが、足を止める理由になったのだと考えています。

なお、実際のNudge HQは、AIが調べて文面を用意し、送るかどうかの最終判断は人が持つ設計です。足を止めてもらったあとに、そこまできちんと説明する。最初の一言は「入口」の役割だと割り切りました。

もちろん、これは私たちの一回の出展での体感です。どんな商品でも同じ言い方が効くと言い切るつもりはありません。ただ、「正しい説明」と「足を止めてもらえる言葉」は別物だということは、はっきり実感しました。


もうひとつの変化は「ふたりで言葉をそろえた」こと

二日目に変えたのは、声かけだけではありませんでした。

ブースは代表と広報のふたりで回していました。一日目は、それぞれが感覚で話し、感覚で「良さそうな人だった」と判断していました。これでは、あとから振り返っても、誰とどこまで話したのかが分かりません。

そこで二日目は、ふたりの間で次のことをそろえました。

  1. どんな声かけをするか
  2. どこまで説明できた方を、どの見込み度にするか(例:ここまで説明して興味を示した方は★4、さらに具体的な相談まで進んだ方は★5、など)

言葉と基準をそろえたことで、名刺交換した方の温度感を、ふたりが同じ物差しで記録できるようになりました。この記録は、展示会のあとにお礼のメールを書くときに、そのまま生きました。誰に提案まで書くべきか、誰には軽いお礼にとどめるべきかを、迷わずに判断できたからです。


戦略とは、言葉と基準を事前に決めておくこと

「戦略」や「マーケティング」と聞くと、大きな計画を想像するかもしれません。しかし今回の経験から感じたのは、もっと手前のことでした。

  1. 誰に向けて話すのか
  2. 最初の一言で、何を感じてもらいたいのか
  3. チームの中で、同じ言葉と同じ基準を使えているか

この三つを決めてから臨むだけで、同じ場所・同じ商品でも結果が変わります。一日目の私たちは、これを決めないまま現場に立っていました。


営業メールの「一文目」も同じ

この学びは、展示会に限りません。営業メールも同じ構造です。

受け取った方は、件名と最初の一文で、読むかどうかを決めます。そこに書かれているのが「弊社のサービスでアプローチ数が増えます」のような売り手の言葉なら、展示会の一日目と同じように流されてしまいます。相手の会社を見て、その相手にとって意味のある言葉で始める。それが、足を止めてもらう(開いてもらう)ための第一歩です。

Nudge HQは、相手企業を調べ、その会社に宛てた文面をAIが用意し、送るかどうかの最終判断は人が持つ設計にしています。同じ文面を一斉に送らないのは、展示会の声かけと同じく「誰に、どんな一言を届けるか」が結果を分けると考えているからです。

よくある質問

展示会の声かけで、足を止めてもらうコツはありますか?
売り手の指標(アプローチ数など)や広い言葉(「支援」など)より、何をするのかが一言で分かり、相手が思わず聞き返したくなる言葉のほうが反応を得やすいと感じました。弊社の場合は「営業支援AIです」を「営業するAIです」に変えたことで、チラシを受け取ってくださる方が増えました。
二人以上でブースに立つとき、事前に決めておくべきことは何ですか?
声かけの言葉と、見込み度の基準をそろえておくことをおすすめします。どこまで説明できた方を何段階で評価するかを決めておくと、あとからの振り返りやお礼メールの書き分けがスムーズになります。
展示会の学びは、営業メールにも活かせますか?
活かせます。営業メールも件名と一文目で読まれるかが決まります。売り手の言葉ではなく、相手にとって意味のある言葉で始めることが、展示会の声かけと同じく大切です。

営業の作業は、AIに任せられます。

リスト集め・メール作成・追客を自動化。最後の送信だけ、人が決める。

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